リハビリメイクの現場から
Vol.01 メイクがくれた自分と向き合う勇気
メイクに背中を押されて
佐藤さんがリハビリメイクとであったのは、26歳の頃。「リハビリメイクを知らなかったら、人生が違っていたと思います」と話します。
物心付いた頃には、鼻の下に口唇口蓋裂の手術痕がありました。その理由でいじめられたりしても、周囲が心配しないよう明るく振舞い、自分でも気にしていないとずっと佐藤さんは思っていました。その一方、百科事典を開いて口の構造の図解が出てきたりすると、慌てて本を閉じることもありました。
社会人になってから、佐藤さんはかづきれいこの講演会で初めてリハビリメイクを体験しました。「傷のない自分の顔を生まれて初めて見て、気付かない内に涙がわーっと出てきました。それで、私は辛いのをずっと我慢していたんだと分かったんです。本当はずっと、私の顔は人間の顔とは呼べないんじゃないかと思っていたんです」
かづきに背中を押されて、「今自分の顔と向き合わなかったら、一生気持ちに蓋をしたままかもしれない」そう思い、勇気を振り絞り口唇口蓋裂の病院をまわりました。そこで、改めてこれから治療した場合の可能性を教えられ、幾つか提案もされた上で、「これなら、リハビリメイクで十分だ」と佐藤さんは思えたと言います。
手術は行いませんでしたが、自分の顔と真剣に向き合い、自分で決められたことで佐藤さんは気持ちがとても楽になっていました。
現在佐藤さんはREIKO KAZKIで働きながら、メイク講師になるため勉強を続けています。仕事をしていて一番楽しいのは、「メイク後に鏡越しに自分の顔を見た生徒さんが、わぁっ!と笑顔になる瞬間」と言います。「一人でも多くの方が笑顔に、元気になってもらいたいです」佐藤さんの笑顔は、すっきりと輝いていました。
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